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はじめに
令和8年6月10日、「年金額改定通知書」と「年金振込通知書」が届きました。
61歳で年金の繰上げ受給を始めてから、気づけばもう半年が経過しています。
今回は通知書の内容を具体的な数字で公開しながら、受給額が増えた理由と所得税が大幅に減った正確な仕組みについて詳しく解説していきます。
通知書は「ねんきんネット」でも確認できる
まず最初に、知っておくと便利な情報を紹介します。
毎年6月に郵送で届くこれらの通知書は、「ねんきんネット」を使えばペーパーレスでスマホやパソコンからいつでも確認することができます。
マイナンバーカードがあればすぐに登録・ログインが可能です。
ねんきんネットにログイン後の手順は次のとおりです。
① 「通知書を確認する」をクリック
②「年金振込通知書」のダウンロードをクリック
③「年金額改定通知書」のダウンロードをクリック

年金額改定通知書の中身を公開
令和8年4月分からの年金額
| 種別 | 令和8年度 | 令和7年度 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 国民年金 | 688,008円 | 675,340円 | +12,668円 |
| 厚生年金 | 1,485,612円 | 1,456,981円 | +28,631円 |
| 合 計 | 2,173,620円 | 2,132,321円 | +41,299円 |
年間で 41,299円のアップ、月換算だと約3,441円の増額です。

なぜ年金が増えたの?「マクロ経済スライド」をわかりやすく解説
「物価が上がっているから年金も増えた」という感覚は正しいのですが、実は仕組みはもう少し複雑です。
令和8年度の改定率
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 物価変動率(令和7年) | +3.2% |
| 名目手取り賃金変動率 | +2.1% |
| マクロ経済スライド調整 | ▲0.2%(基礎年金) ▲0.1%(厚生年金) |
| 実際の引き上げ率 | 基礎年金:+1.9% 厚生年金:+2.0% |
物価は3.2%も上がっているのに、年金の引き上げは1.9〜2.0%にとどまっています。
この差が生まれる理由が「マクロ経済スライド」です。
マクロ経済スライドとは、現役世代の人口減少や平均寿命の伸びに合わせて、年金の伸びを少し抑える仕組みのことです。
物価が上がっても、そのまま全額を年金に反映させると将来の財政が持たなくなるため、この調整が行われています。
平成16年の年金制度改正で導入され、令和8年度は7回目の発動となります。
つまり、年金額の数字は増えていますが、物価上昇率(3.2%)に対して年金の伸び(1.9〜2.0%)が追いついていないのが実態です。
「年金は増えたはずなのに、生活が楽にならない」と感じる方が多いのは、この実質目減りが原因です。
ただし、名目上の受取額が増えているのは事実です。
毎年の改定額を把握して生活設計に活かすことが大切です。
令和8年6月の振込通知書の中身
| 項目 | 令和8年 6〜12月 | 令和8年 4月 |
|---|---|---|
| 年金支払額(2ヶ月分) | 362,270円 | 355,386円 |
| 所得税・復興特別所得税 | 342円 | 78円 |
| 控除後振込額 | 361,928円 | 355,308円 |
振込予定日は令和8年6月15日(月)です。
令和8年6月〜令和9年2月の各偶数月15日に、控除後361,928円が振り込まれる予定となっています(8月以降は介護保険料等の変更により若干変動する可能性あり)。
前回(4月)と比べると2ヶ月分で6,884円(控除後は6,620円)の増額となっています。

所得税が大幅に少ない理由を正確に解説
「なぜ所得税がたった342円なの?」と疑問に思う方は多いと思います。
ここはしっかりと正確に解説します。
まず「源泉徴収」の仕組みを理解しよう
年金から天引きされる所得税は、支払いのたびに概算で計算された仮の税額です。
計算式は次のとおりです。
源泉徴収税額 =(年金支払額 − 社会保険料 − 基礎的控除額)× 5.105%
ここでの「基礎的控除額」は、公的年金等控除と基礎控除を合算した概算の月割金額です。
介護保険料など社会保険料が天引きされている方は、その分も差し引かれます。
この源泉徴収は概算計算であるため、「各種控除を申告した本来の税額」との過不足が生じます。
年金には給与のような「年末調整」がないため、確定申告でその過不足を精算することになっています。
令和8年度から税制改正で非課税ラインが大幅引き上げ
令和7年度税制改正により、令和8年分から源泉徴収の対象となる年金額が大幅に引き上げられました。
| 年齢 | 改正前 (令和7年分まで) | 改正後 (令和8年分から) |
|---|---|---|
| 65歳未満 | 108万円以上 | 155万円以上 |
| 65歳以上 | 158万円以上 | 205万円以上 |
この改正により、年間の年金収入が155万円(65歳未満)または205万円(65歳以上)未満の方は、令和8年分から所得税の源泉徴収自体が行われなくなりました。
また、源泉徴収の対象となる方についても、基礎的控除額の計算に使う金額が引き上げられたため、控除後の課税対象額が圧縮され、税額が減少しています。
私の年金年額は2,173,620円(65歳未満)のため引き続き源泉徴収の対象ですが、改正前よりも控除額が大きくなり、税額が抑えられています。
確定申告をすることで翌年の源泉徴収額が下がる
年金の源泉徴収は概算計算なので、確定申告をして「本来の税額」を精算することで、過払い分の税金が還付されます。
さらに、確定申告の結果は翌年の源泉徴収計算に反映されます。
前年の確定申告で各種控除(基礎控除・社会保険料控除等)を正しく申告し、課税所得がほぼゼロになると確認されることで、翌年の天引き税額も低く抑えられます。
個人事業主の確定申告で所得税はさらに減らせる
私は個人事業主として開業届を出していますが、昨年は事業収入がほぼゼロでした。
そこで所得ゼロの確定申告を提出しました(詳細はこちらの記事)。
ここで注意が必要なのは、公的年金(雑所得)と事業所得は、原則として損益通算できないということです。
事業の赤字を年金収入から直接差し引くことはできません。
ただし、確定申告で全体の所得状況を申告することにより、次のような効果があります。
- 合計所得金額が低くなることで、基礎控除の満額適用が確認される
- 社会保険料控除(国民健康保険料や介護保険料など)を確定申告で正確に申告できる
- 源泉徴収票の過払い分が還付され、翌年の振込額が実質的に増える
こうした効果の積み重ねにより、翌年(令和8年)の源泉徴収税額が大幅に低くなっているというわけです。
年金受給者が確定申告をするメリット
「確定申告は面倒」と感じる方も多いと思いますが、年金受給者にとっては還付・節税の大きなチャンスです。
- 個人事業主で所得がほぼゼロ・赤字の場合:
- 合計所得金額を正確に申告することで、基礎控除・各種控除が適用
- 過払い分の所得税が還付
- 医療費が多い年:
- 確定申告で、還付につながる
- 生命保険料や地震保険料を払っている場合:
- 確定申告で、還付につながる
- 社会保険料(国民健康保険料など)を払っている場合:
- 確定申告で、還付につながる
- 配偶者控除・扶養控除がある場合:
- 確定申告で配偶者控除(最大38万円)や扶養控除(最大63万円)を申告
- 税負担を大幅に減らせる
確定申告が不要な場合でも申告すべき?
公的年金収入が400万円以下で、かつ年金以外の所得が20万円以下の場合は「確定申告不要制度」の対象となります。
ただし、この制度はあくまで「申告しなくてもよい」というだけで、申告した方が還付を受けられるケースが多いのが実態です。
「申告不要=申告しない方がよい」ではありません。
一度試算してみることを強くおすすめします。
今後の振込スケジュール(令和8〜9年)
| 振込月 | 振込予定日 | 対象月 | 支払額(予定) |
|---|---|---|---|
| 6月 | 令和8年6月15日 | 4・5月分 | 361,928円 |
| 8月 | 令和8年8月15日 | 6・7月分 | 361,928円(予定) |
| 10月 | 令和8年10月15日 | 8・9月分 | 361,928円(予定) |
| 12月 | 令和8年12月15日 | 10・11月分 | 361,928円(予定) |
| 2月 | 令和9年2月16日 | 12月・1月分 | 361,928円(予定) |
※8月以降の介護保険料等は市区町村が決定するため、控除後振込額が変わる可能性があります。
まとめ
今回の6月通知書のポイントを整理します。
- 年金額は名目上アップ(年間+41,299円)
- 物価高を背景に、基礎年金+1.9%・厚生年金+2.0%の引き上げ
- ただしマクロ経済スライドにより物価上昇(3.2%)には追いついていない
- 通知書はねんきんネットで確認・管理が便利
- スマホからいつでも確認・PDF保存ができる
- ペーパーレス登録もおすすめ
- 令和8年分から税制改正で非課税ライン引き上げ
- 65歳未満は155万円以上、65歳以上は205万円以上が源泉徴収の対象に変更
- 基礎的控除額も拡大し、税額が抑えられやすくなった
- 確定申告で所得税を大幅圧縮
- 個人事業主として所得ゼロの確定申告を提出したことで、源泉徴収税額が大幅に減少
- 年金受給者にとって確定申告は「節税チャンス」です
年金生活のリアルな数字を引き続き公開していきますので、ぜひ次回もご覧ください。
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